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「第19回MICEイノベーション研究会」を開催しました~「サステナブルMICE」実現へのアプローチ
展示会・イベント
2022.07.29

「第19回MICEイノベーション研究会」を開催しました~「サステナブルMICE」実現へのアプローチ

2022年7月22日、株式会社コングレ(東京都中央区、代表取締役社長:武内 紀子)と株式会社新産業文化創出研究所(東京都千代田区、代表取締役所長:廣常 啓一)は、「第19回MICEイノベーション研究会」をオンラインで開催しました。
今回の研究会のテーマは「『サステナブルMICE』実現へのアプローチ」です。
公益財団法人東京観光財団(TCVB)による「東京都MICEサステナビリティガイドライン」の紹介や、凸版印刷株式会社、株式会社CAN EAT、サステナブルイベントネットワークによる提案発表、GDS-Indexに関する情報提供という構成で、サステナブルMICEの実現に向け、「基本を紐解く」「共創で取り組む」「差別化を図る」の3つの視点からアプローチしました。

<基本を紐解く:『サステナブルMICE』実現へのアプローチ>

はじめに、公益財団法人東京観光財団(TCVB)コンベンション事業部長 戸田 加寿子 氏が、「サステナブルMICE都市・東京の実現を目指して」をテーマに、同財団が作成した「東京都MICEサステナビリティガイドライン」を紹介しました。
ガイドライン作成の背景について、戸田氏は2017年に行ったMICEに係る環境配慮調査の結果がきっかけであり、「国際会議開催都市のトップ10のうち、東京を除くすべての都市がサステナビリティに関して何らかの取り組みを実施していて驚きました」と話しました。
国際会議の主催者が開催都市にサステナビリティを意識した取り組みを求める傾向が強まっており、「誘致競争で東京が候補であり続けられるように、18年度にガイドラインを作成し、開催都市として、また事業者や会場などがそれに沿った提案ができるようにしました」と説明。ガイドラインの活用事例として、「第7回サスティナブル・ブランド国際会議 2023 東京・丸の内」「DMO六本木のサステナビリティ研修会」を紹介しました。
そして、TCVBの活動として、20年度に策定した「東京SDGs体験コンテンツガイド」を紹介した後、今年度はイベント単体で使用できる「CO2測定ツール」を開発し、「MICEにおいても、2050年のカーボンニュートラルに向けて取り組みを進めていきたい」と締めくくりました。

<共創で取り組む:提案発表>

次に、サステナブルMICEの実現に活用できる技術・サービス・事業アイデアの提案発表を行いました。

1社目は、凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 ソーシャルイノベーション事業開発室 課長 大文字 一人 氏による「『言葉の壁を無くす』凸版印刷の多言語サービス、取り組みについて」をテーマにした発表です。
同社はこれまで、印刷会社として様々な印刷物の翻訳の仕事に関わってきました。在留外国人や訪日外国人の急増に伴い、2015年から“言葉の壁をなくすコミュニケーション事業”を展開し、多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」を開発。今回は「VoiceBiz」をサステナブルMICEに貢献できるツールとして提案しました。
「VoiceBiz」は、日本語に最適な国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の音声翻訳エンジンを採用しており、音声翻訳12言語、テキスト翻訳30言語に対応しています。ニューラル機械翻訳による、自然で高精度な翻訳をスマートフォン一つで利用できるサービスで、これまでに自治体や学校などで多くの導入実績があります。

2社目は、株式会社CAN EAT 代表取締役CEO 田ヶ原 絵里 氏による「国際的な食の多様化トレンドに向けて~MICE開催時に対応が必要な『食の知識』と『ツール』」をテーマにした発表です。
田ヶ原氏ははじめに、食事制限がある本人が、アプリで簡単に具体的な食事制限の内容を登録できるシステム“アレルギーヒアリングシステム”を紹介しました。
例えば海老アレルギーの場合、どの程度まで気を付けたらよいのかなど、調理方法によっては問題がないのか、具体的に登録することが可能です。従来は、ホテルや旅行代理店などの担当者は、海外からの招待者や参加者のアレルギーのヒアリングの対応を紙やメールで行っていたため、手間や管理リスクが少なくありませんでした。そこで同サービスによって、少ない人数で多くの参加者への正確なヒアリングや対応が可能になると提案しました。
次に、調理師が原材料の確認ミスをしないための“アレルギー管理サービス”を紹介。同サービスは、商品のバーコードを読み取るだけで、自動でアレルギー判定ができます。説明の中で、田ヶ原氏は自身のスマートフォンを使って商品のバーコードを読み取り、簡単にアレルギー表示を作成できることを示しました。

3社目は、サステナブルイベントネットワーク 西崎 龍一朗 氏が、「イベントをするほど環境・社会・経済を良くする実施方法とは」をテーマに発表しました。
サステナブルイベントネットワークは、イベントに関わる全ての人が、産業全体を持続可能なものにするために、現状の課題・機会・新たなあり方を業界の垣根を超えて学び合い、対話し、創出し、共有するプラットフォームです。
イベントの開催に伴う環境負荷については、2021年にイギリス・グラスゴーで開催された環境に関する国際会議「COP25」でも協議されました。サステナビリティが“あればいいもの”から“必要なもの”へ変わっている今、サステナブルイベントネットワークは、SDGsを言葉だけで終わらせるのではなく、イベント自体の魅力を損なわず、環境・社会・経済にの3つの側面のバランスがとれたイベント開催を目指す提案を行っています。
発表の中では、環境負荷数の数値化・ソリューションの提案・レポーティングによって包括的にサポートする「サステナビリティイベントパッケージ」や、ソリューション事例を紹介しました。

<差別化を図る:観光・イベントの視点から都市の持続可能性を可視化する世界唯一の指標「GDS-Index」>

最後に、GDS-Index 日本パートナー 西本 恵子 氏が、持続可能なまちづくりのコンサルティングを行う組織 GDS-Movement(スペイン・バルセロナ)が評価する指標「GDS-Index」について紹介しました。
「GDS-Index」は、観光や国際会議、イベントの視点から都市の持続可能性を客観的に示すことができる世界唯一の指標です。GDS-Movementは、「GDS-Index」に加盟している各企業や団体のサステナビリティの取り組みに対して評価を行い、分野ごとのパフォーマンスを数値化し、今後の改善点なども含めてレポートにまとめ、フィードバックしています。
加盟する都市は、自らのサステナビリティの取り組みに対する強みと弱みを把握し、それらを組み立て、都市の活動の中で発展させていく、いわば“サステナブルジャーニー”を行い、マーケティングプランを定めて実践することができます。すでに世界90都市以上が「GDS-Index」に加盟していることから、先進的な都市の事例の一部を紹介しました。
詳細は、今年6月から新たに窓口となったGDS日本事務局にお問い合わせください。

<第19回MICEイノベーション研究会 プログラム>

16:00 – 16:10【研究会説明】
ファシリテーター: 株式会社新産業文化創出研究所 所長 廣常 啓一

16:15-16:35 【『サステナブルMICE』実現へのアプローチ】
「サステナブルMICE都市・東京の実現を目指して」
公益財団法人東京観光財団(TCVB)
コンベンション事業部長
戸田 加寿子 氏

16:35-17:20【提案発表】
~サステナブルなMICEの実現に活用が期待される技術・サービス・事業アイデア~

①「『言葉の壁を無くす』凸版印刷の多言語サービス、取り組みについて」
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部
ソーシャルイノベーション事業開発室 課長
大文字 一人 氏

②「国際的な食の多様化トレンドに向けて MICE開催時に対応が必要な『食の知識』と『ツール』」
株式会社CAN EAT
代表取締役CEO
田ヶ原 絵里 氏

③「イベントをするほど環境・社会・経済を良くする実施方法とは」
サステナブルイベントネットワーク
西崎 龍一朗 氏

17:20-17:30
【観光・イベントの視点から持続可能なまちづくりを促進し、MICE 開催都市としての価値を高める『GDS-Index』】

GDS-Index 日本パートナー
西本 恵子 氏

MICEイノベーション研究会は、新型コロナウイルス感染症によって、大きく影響を受けたMICEビジネスについて、異業種、異分野との交流によって、新しいMICEのカタチをつくり出すことを目的としています。
研究会では、毎回、MICEに関する課題やニーズ発表、そして異業種からの課題解決技術(シーズ)提案の発表を行っています。

※ MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。(出典:観光庁ウェブサイト)

MICEイノベーション研究会では、このような時代だからこそ、業界を越えてMICEにイノベーションを起こし、withコロナ、postコロナ時代の人々の交流を進めていきたいと考えています。

次回以降のご参加もお待ちしております。