ポートメッセなごやで「イベント安全対策シンポジウム」を開催しました

2026年3月5日(木)、ポートメッセなごや コンベンションセンター ホールAにて、第2回となる「イベント安全対策シンポジウム」(主催:ポートメッセなごやMICEコンソーシアム)を開催いたしました。
株式会社コングレは、公益財団法人名古屋観光コンベンションビューローとともに指定管理者「ポートメッセなごやMICEコンソーシアム」として「名古屋市国際展示場(愛称:ポートメッセなごや)」の管理運営を行っています。
昨年の開催で大きな反響を得たことを受け、第2回となる今回は、イベント開催に不可欠な「安全」と、近年その重要性が高まる「サステナブル」をテーマに掲げ、企画しました。
当日は、業界内外から170名の方々にご参加いただき、安全で持続可能なイベント運営への関心の高さがうかがえる機会となりました。
本レポートではシンポジウムの概要と企画背景についてご紹介いたします。

講演

今回のシンポジウムは、「安全・安心とサステナブルなイベント開催に向けて」をテーマに、事故や災害を未然に防ぐための安全対策と、環境・社会への配慮をどのように実務に反映させていくかを中心に構成されました。
イベントは無事に終えることが最も重要である一方、安全対策は事故が起きなければ意識されにくい側面があります。
そこで本シンポジウムでは、事前の予防対策や万が一に備えた対応を整理・共有することを目的に、実務に直結する講演が行われました。
また、国内外で進むサステナビリティの動向を踏まえ、安全対策と環境・社会への配慮を両立させたイベント運営についても議論が行われ、今後の取り組みを考える一つの契機となりました。

①搬入出時の全員ヘルメット着用に向けた課題と取り組み

一般社団法人日本展示会協会 安全対策委員会
委員長:梶原 靖志 氏
メッセフランクフルトジャパン株式会社 代表取締役社長
副委員長:安藤 英賢 氏
株式会社日経イベント・プロ 執行役員 イベント事業担当補佐兼企画・イベントDX推進担当補佐
委員:川村 知哉 氏
RX Japan合同会社 会場運営本部/制作本部 本部長執行役員

「搬入出時における安全対策」をテーマに、日本展示会協会安全対策委員会のメンバーが登壇し、主催者・出展者・協力会社の立場に扮したロールプレイなどを取り混ぜながら、ヘルメット着用を業界全体で定着させるための課題と今後の取り組みについて鼎談いただきました。

  • 業界共通の課題認識
    搬入出時の事故防止においてヘルメット着用は有効である一方、現場ごとにルールや運用が異なり、徹底が難しい現状が紹介されました。
  • 立場の違いによる意識差
    主催者・出展者・協力会社それぞれの立場を想定したロールプレイを通じて、役割や責任範囲の違いが安全意識のばらつきにつながっていることが示されました。
  • 啓発とルール整備の重要性
    個人の判断に委ねるのではなく、業界全体として共通ルールを整備し、継続的に周知・啓発していく必要性が語られました。
  • ②イベント施工作業時における熱中症対策

    田尻 博文 氏
    株式会社ラインナップ 常務執行役員ファニシング事業本部 本部長

    法改正により義務化された熱中症対策を背景に、イベント施工作業時に求められる具体的な対応や、現場で命を守るための考え方について解説いただきました。

  • 法改正の背景
    2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則を踏まえ、イベント現場においても、熱中症対策を事業者の責任として捉える必要があることが示されました。
  • 初期対応の重要性
    熱中症は発症から重症化までの進行が早く、異変に気づいた時点での早期対応が、命を守る上で極めて重要であると説明されました。
  • 「一人にしない」現場づくり
    実際の事故事例を踏まえ、体調不良を訴える人を一人で対応させず、周囲が連携して対応する体制づくりの必要性が語られました。
  • 事業主の責任
    ルールや手順を定めるだけでなく、現場で確実に機能するよう周知・共有することが、事業主に求められる重要な役割であると示されました。
  • ③イベント安全DXの現在地と課題-9カテゴリで捉える安全・安心の再設計

    近田 菜優 氏
    bravesoft株式会社 eventos本部 プラットフォーム事業部

    イベントの安全リスクを9つのカテゴリで整理し、ITを活用した可視化や判断の高度化など、安全DXの現状と課題について紹介いただきました。

  • 安全対策の全体像整理
    イベントに潜む様々な安全リスクを9つのカテゴリに整理し、安全・安心を体系的に捉える必要性が示されました。
  • 重点4カテゴリの提示
    中でも事故発生リスクが高く、IT導入の効果が期待できる「人流・群衆」「医療・健康」「ヒューマンエラー」「情報伝達」の4分野に重点を置いて考える重要性が示されました。
  • 説明責任の変化
    イベントの評価軸が「事故が起きなかった」ことだけでなく、判断の根拠や対応の記録を示すことへと広がりつつある点が指摘されました。
  • DXによる可視化の効果
    データを可視化し即時に共有することで、誰でも一定水準の判断が可能となり、迅速な対応や安心感の向上につながることが説明されました。
  • ④ サステナブルなイベント_環境負荷の見える化と対策

    森 マーヴィン 氏
    株式会社Zevero Japan CEO

    イベント運営に伴う環境負荷の「見える化」を切り口に、LCAを活用した定量的な把握と、改善につなげるための実践的な取り組みが紹介されました。株式会社Zevero社には本イベントでもGHG算出にご協力いただきました。

  • 世界的な潮流
    イベント分野においても、サステナビリティへの対応が国際的な標準になりつつある現状が共有されました。
  • イベントLCAの意義
    環境負荷を感覚ではなく数値で捉えることで、課題を正確に把握し、改善につなげられる点が示されました。
  • 排出要因の可視化
    移動や施工、エネルギー使用などの排出要因を分解して把握することで、取り組むべきポイントがより明確になることが説明されました。
  • 価値創出への活用
    得られたデータをイベント設計に反映することで、主催者・出展者双方にとって付加価値のあるイベント運営につながる可能性が示されました。
  • ⑤ サステナブルな大型イベントにおける安全対策

    黒川 広治 氏
    公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 持続可能性局 人権・調達チームリーダー

    大阪・関西万博の事例をもとに、大規模イベントにおける安全対策とサステナビリティ、人権への配慮をどのように一体で設計したかが共有されました。

  • 大規模イベントの前提条件
    多数の来場者を迎える大型イベントでは、平時から安全・防災を見据えた計画を整えておくことが不可欠であると説明されました。
  • 多層的な安全対策
    気象災害や事故への備えに加え、情報発信体制や多言語対応を含めた多層的な安全対策の必要性が示されました。
  • 人権への配慮
    人権デュー・ディリジェンスを導入し、人権侵害の予防・軽減に取り組んだ万博での具体的な事例が紹介されました。 
  • これからのイベント像
    サステナビリティ、安全対策、人権への配慮を一体で設計することが、今後の大型イベントに求められる姿として示されました。
  • 展示コーナー

    安全・サステナブルな取り組みやイベント関連を紹介。会場内には、シンポジウムのテーマに関連する取り組みや製品・情報を紹介する展示コーナーを設置し、合計14社から出展いただきました。
    講演で紹介された考え方や課題を、実際の製品やサービスを通じて具体的に確認できる場として、来場者同士や出展者との活発な交流も見られました。

    担当者のコメント

    「第2回イベント安全対策シンポジウム」
    企画・運営担当
    今市 奈都子 / 飯田 莉佳子

    いま、イベントを開催するうえでは「いかに安全で、サステナブルに配慮できているか」が強く求められており、その取り組みが社会的な意義にも大きく関わってきています。ただ、具体的に何にどう気をつければよいのかは、私たち自身も悩むところです。
    そんな中、今回のイベントでは関係者同士で議論を深める場として最新の知見をご提供いただき、参加者の皆さまからも「業界全体で課題に取り組むきっかけになった」「とても良い機会だった」といった前向きなお声をいただきました。
    また、サステナブルな取り組みの一環として、参加者の皆さまからデータを収集し、温室効果ガス(GHG)の排出量を算出することで、環境負荷の"見える化"にも取り組みました。さらに、講演資料はWeb上で閲覧できるようにしており、紙の使用を抑えるとともに、どなたでも今回共有された最新の知見にアクセスできるようにしています。実際の事例が詰まった内容になっていますので、ぜひご覧いただき、課題解決のヒントとしてご活用ください。
    ポートメッセなごやは、これからも会場として価値ある情報を発信しながら、新しいイベントのあり方を提案していきます。

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