ポートメッセなごやで「イベント安全対策シンポジウム」を開催しました

イベントの安全・防災とサステナブルを考える

2025年2月18日(火)、ポートメッセなごやのコンベンションホールAで、「イベント安全対策シンポジウム」(主催:ポートメッセなごやMICEコンソーシアム)を開催し、全国から200名の方々にご来場いただきました。株式会社コングレは、公益財団法人名古屋観光コンベンションビューローとともに指定管理者「ポートメッセなごやMICEコンソーシアム」として「名古屋市国際展示場(愛称:ポートメッセなごや)」の管理運営を行っています。
「展示会・イベント中の事故や自然災害にどのように対応すればよいか。皆さまの関心が高いのでは」と考えて企画した本シンポジウムの概要と企画背景をレポートします。

第1部 イベントの安全と防災対策 

今回のシンポジウムのテーマは、「イベントの安全・防災とサステナブルを考える」です。
2024年1月に発生した能登半島地震や同年8月に発表された南海トラフ地震臨時情報、各地で起きている記録的豪雨など、自然災害は予測できないタイミングで発生します。イベントの主催者や会場提供者にとって、予期せぬ非常事態が発生した際にどのように対応するか、日常からどのような備えをしておくかは重要な課題です。
第1部では、施工や撤去時を含めたイベント全体の安全対策について、3人の専門家にご登壇いただきました。

①イベント関係者全員で取り組む安全対策

梶原 靖志氏 一般社団法人日本展示会協会 安全対策委員会委員長 / メッセフランクフルトジャパン株式会社 代表取締役社長

日本展示会協会 安全対策委員会は「展示会搬入搬出等 安全ガイドライン」を策定し公開しています。同ガイドラインは、主催者や出展者を含めたすべての展示会関係者を対象とする初めてのガイドラインで、展示会の事故発生リスクを低下させることを目指しています。梶原氏は特に重要なポイントとして、全入館者のヘルメット着用と夏場の熱中症対策を挙げ、安全意識向上に向けた推進策を紹介しました。

②自然災害への事前準備と対策について

中岡 茂氏 気象庁 名古屋地方気象台 地震津波火災防火情報調整官

近年集中豪雨や台風等による被害が相次いで発生しています。気象庁では災害につながるような気象(現象)の発生が予想される場合に、防災気象情報を随時発表しています。中岡氏はその見方を説明し、イベント会期中に災害につながるような気象が発生した場合、どのレベルで避難行動を取るべきか提示しました。また、いざという時に最大限活用できるよう地震関連情報の確認方法も詳しく説明しました。

③展示会開催中の震災体験から得た教訓と対策

安藤 英賢氏 一般社団法人日本展示会協会 安全対策員会副委員長 / 株式会社日経イベント・プロ 執行役員イベント事業担当補佐・イベントDX推進担当補佐

安藤氏は東日本大震災の発生時の体験談を語りました。大型展示会の開催中に大震災に遭遇し、救急車を呼んでも到着までに3時間かかったことや、帰宅困難となり段ボールで暖を取って一夜を過ごしたこと、一般電話回線がパンク状態で連絡が取れなくなったことなどを実体験として共有。それを踏まえて、展示会開催中には強力な通信回線を確保できる衛星電話を準備していることなど具体的な防災対策を紹介しました。

第2部 これからのイベント開催で求められるもの~サステナブルなイベント開催を目指して~

白川 陽一氏  一般社団法人日本展示会協会 サスティナビリティ推進委員会副委員長 / 株式会社博展 サステナビリティ推進部長
越川 延明氏 一般社団法人日本イベント産業振興協会 サステナビリティ委員会委員長 / 株式会社セレスポ 執行役員人事総務部長 兼 広報室長

2024年9月発行の「イベント・MICE関係者のための使いやすいサステナビリティガイドブック」について、白川氏と越川氏は、"ガイドライン"ではなく"ガイドブック"にしたのは、各社の状況に合わせて柔軟に活用してもらうためであるとし、その内容と使い方を詳しく説明しました。また、イベント運営時にサステナブルな取り組みを具体的にどのように取り入れるべきか、株式会社博展が主催する「サステナブル・ブランド国際会議」の事例を紹介しました。

展示コーナー安全・防災・サステナブルな取り組みやイベント関連を紹介

会場内には、テーマに関連する取り組みや製品・情報を紹介する展示コーナーを設置し、合計15社から出展いただきました。

様々な内容の展示会場
その場で食べて気に入ったものは持ち帰りできるケータリング商品
ポートメッセなごやの取り組みを紹介
コングレも出展。サステナビリティレポートとシードペーパーのおみくじを配布

担当者のコメント

「イベント安全対策シンポジウム」
企画・運営担当
米田 俊

今回参加いただいた皆さまからは、「まさに課題と感じている災害時の対応策を聴けた」という声を会場でいただき、多くのイベント関係者に共有できたことは、とても意味のあることだと思っています。
アンケートでは「災害時の会場、主催者によるファーストエイド対応について知りたい」「大型化する台風や豪雨などの自然災害時のイベント開催の可否の判断について話したい」「防災機器や防災グッズの展示をしてほしい」など、より実践に近いテーマを求める声を頂戴しました。

安全や防災、そしてサステナブルな取り組みは、イベントに携わる関係者にとって日常的に重要な課題です。
ポートメッセなごやは『PSSDGs(Port Messe Nagoya in Safety and Sustainable development goals.)』を合言葉に、今後も「安全」「防災」「サステナブル」の重要性を広く発信し、取り組んでまいります。

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