観光庁が「将来の国際会議主催者育成のための地域・大学連携等促進事業」を実施しました

コングレは事務局を担当

観光庁が2025年度に実施した「将来の国際会議主催者育成のための地域・大学連携等促進事業」において、株式会社コングレは事務局を担当し、大学や研究機関における国際会議主催者の育成や国際会議の開催を支援する大学機関等における機能の可能性としてURA(University Research Administrator)を含めた総合的な実証事業を行いました。

地域・大学と連携した観光資源創出に向けた実証的取組

今回の事業では、国際会議の開催促進に向けた地域の魅力を高めるため、大学や地域のコンベンションビューロー等が主体となって企画する地域の産業文化等の利活用を通じた新たな観光資源の創造をめざし、様々なアカデミアツーリズムやホスピタリティプログラムの開発実証実験を行いました。

RA協議会年次大会における事業成果の発表と意見交換

また同事業では2025年10月に熊本で開催された一般社団法人リサーチ・アドミニストレーション協議会(略称:RA協議会)の第11回年次大会において、口述およびポスターセッションに採択され、観光庁「国際会議開催がもたらす効果とURAに期待される役割」と題した口述セッションおよび「国際会議開催支援におけるURAの役割とその重要性~アンケート調査結果を踏まえて~」と題したポスター発表を行いました。

『国際会議開催がもたらす効果とURAに期待される役割』
大場 亮平 氏
文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策課 政策推進室  室長補佐
『国際会議開催の現状と政府による誘致・開催支援』
西森 雅樹 氏
観光庁 国際観光部 参事官 (MICE) 
『東北大学の取組み』
坪井 俊 氏
東北大学 研究推進・支援機構 知の創出センター 副センター長
『国際会議の開催効果と開催支援に関する社会的背景』
天野 宅志
観光庁事業事務局/株式会社コングレ 営業企画部長 MICEコンサルタント

口述セッションでは、当社の営業企画部長/MICEコンサルタント 天野 宅志が、モデレーターを務め、イントロダクションとして「国際会議の開催効果と開催支援に関する社会的背景」について講演し、文部科学省の大場 亮平氏、観光庁の西森 雅樹氏、東北大学の坪井 俊先生の各講演後に全体でのパネルディスカッションを実施し、今後、日本の大学において求められる国際会議開催への認識変容や国際会議支援の在り方、またこれらにかかわる地域CB等の支援組織や大学、特にURA等のリレーション強化の有用性と期待について議論され、文部科学省や観光庁等における必要な政策の方向性を示す機会となりました。

パネルディスカッション『国際会議開催がもたらす効果とURAに期待される役割』
(写真左から モデレーター 天野、西森氏、大場氏、坪井氏)
ポスターセッション
『国際会議開催支援におけるURAの役割とその重要性~アンケート調査結果を踏まえて~』

講演要旨

1. 国際会議開催の社会的背景と課題(天野)
国際会議は研究ネットワーク構築の起点となり、国際共同研究や国際協調論文の増加につながる。これは大学の国際的評価を高め、学生・留学生・若手研究者の獲得にも寄与する。また、地域社会にも経済・文化的な波及効果をもたらす。
一方で、主催者側には労務負担・資金負担という二大課題があり、特にコロナ後は資金不足が大きな障壁となっていると説明。さらに、国際会議が研究者個人の活動として扱われてきたため、大学の関与が希薄で、負担が研究者に集中していた点を課題として挙げた。今後は大学が国際会議の価値を理解し、幹部・研究者・職員が協力する支援体制の構築が必要と述べた。
URAについては、学内の国際会議開催状況の把握、ネットワークデータの可視化、KPI設定など、研究マネジメントの観点からも親和性が高く、実際に、研究者やURA向けに実施されたアンケート調査において、それぞれ約6割の回答者が、国際会議開催支援等にURAが関与することについて期待を寄せている点を共有した。

2. 国際会議の重要性と大学の戦略(大場氏)
文部科学省人材政策課の立場から、国際会議の意義を強調した。東北大学の富田先生の事例に触れ、若手研究者がURAに相談し、URAが企画を拾い上げ、外部資金獲得までつなげたプロセスを高く評価。URAが研究現場に近い立場でアイデアを掬い上げ、大学経営と研究者双方にメリットをもたらす形が理想的と述べられた。
また国際会議は、日本の研究者を海外に知ってもらう最も効果的な手段であり、若手研究者が海外の第一線の研究者と議論する機会を得ることで、研究の質・意欲の向上につながると指摘。大学は本来研究・教育が中心であり、国際会議開催にはリソースが必要なため、戦略的判断とURAの企画力が不可欠とした。

3. 観光庁が期待するURAの役割(西森氏)
観光庁が国際会議を支援する目的として、地域への経済・文化・学術的波及効果を強調。支援は一度きりではなく、2回目・3回目の開催につながることを重視していると述べた。
地方自治体やコンベンションビューローは「地元で国際会議を開催したい」という強いニーズを持つが、どの研究者にアプローチすべきか分からないという課題がある。そこで、大学内で研究者と地域をつなぐ「結節点」として、URAが窓口となることを強く期待していると述べた。
観光庁が実施中の支援事業は、支援額が1件あたり700万円(税別)規模であり、これは自治体等の支援よりも大きなものであり、得られた知見を全国に波及させる意図があり、URAには、研究者の意向を把握し、地域側とマッチングする役割を担ってほしいと述べた。

4. 国際会議支援の実感と課題(坪井氏)
東北大学での国際会議支援の経験から、国際会議は研究者にとって極めて大きなメリットがあると強調。かつては寄付金集めなど負担が大きかったが、現在は科研費や外部支援が充実し、開催しやすくなったと述べた。
特に観光庁支援により、
・若手研究者が大規模な国際会議を企画できた
・ノーベル賞受賞者を招聘できた
・若手が直接コメントを受ける貴重な機会が生まれた などの成果があったと紹介
また、国際会議運営には細かな事務作業が多く、短期雇用の事務スタッフを雇える支援が非常に有効だったと述べ、今後も支援事業の継続を要望した。
さらに、海外では一般的な訪問滞在型研究施設の重要性を指摘。研究者が合宿形式で議論できる環境が日本には不足しており、政策的整備の必要性に言及した。

パネルディスカッション要旨・セッション総括

本パネルディスカッションでは、文部科学省、観光庁、大学関係者が、国際会議の誘致・開催支援における政策的意義と実務的課題について意見交換を行った。

■ 国際会議の意義とURAへの期待
文部科学省は、国際会議が日本の研究者の国際的認知向上に資する重要な機会であると位置づけ、URA(リサーチ・アドミニストレーター)が果たし得る役割に大きな期待を示した。
観光庁は、国際会議が地域にもたらす波及効果を強調し、研究者と地域をつなぐ存在としてURAが貢献できる可能性を指摘した。
■ 大学側の視点と実務課題
大学からは、国際会議の開催が若手研究者の育成や国際ネットワーク形成に有効であるとの認識が共有された。
成功のためには、事務支援体制の強化や滞在型施設の整備が重要であるとの新たな指摘もあった。
■ 支援制度への要望と今後の方向性
参加者からは、金銭的支援の継続やURAの制度的位置づけの強化を求める声が多く寄せられた。
一方で、URAが国際会議支援に実際に関与できる体制を整えている大学はまだ限られており、今後は大学や研究者が取り組みを推進できるよう、関係省庁が大学関係者と意見交換を重ねながら支援政策を検討していく必要性が確認された。
■ セッションの成果
本セッションは、文部科学省・観光庁・大学・自治体など多様な関係者が連携し、支援体制の強化や環境整備を進めるための「第一歩」として有効であることが示された。関係者間の相互理解と協力関係の構築につながる基盤が形成され、今後の政策形成に向けた重要な示唆が得られた。