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国際資格CMPの取得から考える世界基準のMICEの仕事

インタビュー

国際資格CMPの取得から考える世界基準のMICEの仕事

CMPとは”Certified Meeting Professional”の略称で、世界最大のMICE産業団体Events Industry Councilが認証するミーティングプランナーの国際資格です。全世界で1万名以上のCMPが活躍中。今回は、世界的にも認知度の高い国際資格CMPについて、コングレで本資格を取得しているコンベンション事業本部の西村郁子に、取得のメリットやプロセスなどを聞きました。

コンベンション事業本部:東京事業部 部長 西村郁子(NISHIMURA Ikuko)

インタビュアー:まず初めに、CMPについて簡単に教えてください。

西村:CMPとはMICE業界における国際認証の一つで、約2万団体・10万名が属する世界最大のMICE(※1)産業団体Events Industry Councilが認証するミーティングプランナーの国際資格です。北米を中心に、世界各国の約1万1千名のプランナーが取得しているもので、国際的な認知度が高いのが特徴です。日本でもコングレのようなPCO(※2)や、各地のコンベンションビューロー、旅行代理店等、MICEに携わる方々が毎年受験しているものです。

(※1)MICEとは、Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Eventの頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称
(※2)PCOとは、Professional Congress Organizerの頭文字をとった略称で、会議開催に係る業務、またはこれに関連して派生する一切の行事に係る業務を取り扱うための専門能力を持った会社または個人を指す

 

 

 

インタビュアー:教材や受験資格を得るためのセミナー、そして資格試験もすべて英語で行われるとのこと。英語力もさることながら、米国のミーティングビジネスの商習慣や専門用語の理解も必要とのことで、なかなかハードルが高そうな資格ですね。CMPに挑戦するメリットを教えてください。

西村:CMPの取得のメリットは、グローバルスタンダードの証明になる、というところだと思います。CMPは国際資格として海外での知名度が高いため、CMP保有者=MICEにおける世界基準の知識と経験を有することの証明として、海外のクライアントや国際機関等の信頼を得やすいというメリットがあると理解しています。日本でのMICE開催を検討している海外の国際機関や主催者等からすれば、CMP保有者の存在は、グローバルスタンダードを理解したプランナーがいるという安心感につながり、MICE誘致における国際競争力を向上させる、とも言われています。
もう一つのメリットとして、ミーティングプランナーの知識が体系的に学べる、という点もあります。ミーティングプランナーの実務知識は職人化・属人化しがち、と言われていますが、CMPの教育カリキュラムは、明確に体系化されているのが特徴だと思います。私自身も、CMP受験にあたり教育カリキュラムを学んでいく中で、実務経験で得た知識のピースが、マネジメントから現場運営に至るまでの理論や用語とつながり、体系的な知識として吸収できた感覚があり、非常に新鮮でした。

インタビュアー:観光庁でも、CMP取得を支援していたのはそういった背景からですね。では具体的にCMP合格までにはどういったステップがあるのでしょうか。

西村:まずCMPの受験には、基本的に3年以上の実務経験が求められます。さらに受験資格である単位取得のために、MICE業界団体の主催する教育プログラム等を受講する必要があります。私自身はPCMAというミーティングプランナーの国際団体のオンラインコースを履修しました。教材は複数の団体から発行されている専用のものがあるので、それを購入し学習を進めます。必要数の単位の履修を終えると、一次試験に進めます。一次試験は書類審査で、所定のオンライン申請フォームと英文の職務経歴書を提出します。書類審査を通過したら、本試験となります。本試験はTOEFLやCPAの試験にも使用されているプロメトリック社のオンラインテストセンターで受験します。パスポートでの本人確認、身体検査ののち個人ブースが割り当てられ、備え付けのPC上で4択の試験問題165問に回答します。10分野すべてで及第点を取れれば合格、という流れです。

インタビュアー:オンラインコースの履修なども必要なのですね。仕事をしながらの受験で難しかったことなどありますか?

西村:私自身は2021年10月に取得しました。実務的な項目に関しては、ある程度の経験があれば推測できることも多く、逆に、実務では感覚的に対応していたことに、理論的な裏付けがされ、納得することも多かったです。ただ、専門用語は、実務でもあまり使わない用語もあったりしたので、正直少し苦戦しました。
実は、長年この仕事をする中で、CMPは気になりながらも、相当な勉強時間が必要なのではと尻込みしてしまっていました。実際にやってみると、それなりに時間の確保は必要でしたが、CMPの取得に至らなかったとしても、英語のコンベンション専門用語は、国際的な商談やネットワーキングをスムーズにしてくれるでしょうし、予算管理やリスクマネジメント等、経験を通じてわかったつもりでいたところが、知識として基礎から学べたので、これは実務においても武器になるなと感じました。CMP取得に至らなくても、勉強することはメリットしかないと思うので、若い方にもどんどんチャレンジしてほしいな、と思っています。

インタビュアー:今後受験を考えている方にメッセージなどありましたら、教えてください。

西村:まずは、こういう資格がある、ということを広く認知いただき、MICEに携わる若手の皆さんにもどんどん挑戦していってもらえたら、と思います。CMPを持っていることで海外の主催者・関係者に信頼していただけることは大きなメリットと思います。国内のCMP保有者が増えることで、開催地としての日本の魅力や、日本のMICE業界の実力などももっと世界に発信できるのではないでしょうか。こういった取り組みが業界全体を活性化させ、次の世代を担う学生の皆さんにも、MICE業界で働きたい、と思ってもらえるような未来につながれば、と思います。

インタビュアー:ありがとうございました。