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MICEにおけるイノベーションの創出を目指して―MICEイノベーション研究会

インタビュー

MICEにおけるイノベーションの創出を目指して―MICEイノベーション研究会

コングレと新産業文化創出研究所(ICIC)は2021年3月18日、「第9回MICEイノベーション研究会」をコングレスクエア羽田で開催しました。MICEイノベーション研究会は、コロナ禍で大きな影響を受けたMICE業界のイノベーションを促進するプラットフォームとして昨年7月に発足。これまでオンラインで8回開催し、新技術と業界ニーズのマッチングを促進してきました。そして、第9回はリアルの場で研究会と実証イベントを開催。新たなステージを迎えたMICEイノベーション研究会の立ち上げから今までの活動内容や、今後の目標などを、立ち上げから中心的に携わる担当者に聞きました。

営業企画部:西川つぼみ (NISHIKAWA Tsubomi)

インタビュアー:2020年7月から始まった「MICEイノベーション研究会」の立ち上げの経緯や活動内容などを教えてください。

西川: MICEイノベーション研究会は、コロナ禍を受けて激変するMICE業界のイノベーションの創出を目指して発足した、共創型のプラットフォームです。コングレと新産業文化創出研究所(ICIC)が事務局となり立ち上げ、2020年7月に第1回目の研究会を開催しました。
立ち上げ時は、新型コロナウィルスの感染拡大期で、多くの人が集まるイベントは軒並み中止か延期になっていました。コングレの主要事業であるコンベンションもしかりの状況で、MICEという事業そのものの存続のためには、オンライン開催を含めた今までにないシステム・技術の検討や導入が喫緊の課題になっていました。イベントが再開しても、密集・密接・接触を回避するような感染拡大防止策が不可欠で、そこにも新たなソリューションが必要でした。この状況を乗り越えるためには、異業種や異分野の新しい技術、ソリューションとMICE業界を結びつけるプラットフォームが必要ではないか、ということで、ないなら私たちで立ち上げよう!と全社体制でチームを編成し、ICICの協力も得ながら手探りでスタートしたのが始まりです。

インタビュアー:「MICEイノベーション研究会」は立ち上げ以降、大体月1回のペースで開催されているのですね。研究会では、どのようなことをされているのでしょうか。

西川:毎回の研究会は、基本的には「業界課題(ニーズ)の発表」とそれを解決するための「新技術(シーズ)の発表」の2軸で構成しています。「業界課題(ニーズ)の発表」部分では、MICE業界のみならず、エンタメ、スポーツ業界など、同じような課題を抱える関連の産業からも広く参加を賜りました。Jリーグの「FC東京」や、エンタメの「ぴあ」、都心のMICE施設を運営する「森ビル」など、いずれも業界をリードする企業・団体様に参画いただき、議論をより広く、深いものにできたと自負しています。また、課題解決のための「新技術(シーズ)の発表」では、ITやロボットなどの新技術、MICE業界に転用可能な各種サービスを様々な企業から発表いただき、実際に課題解決につながったなど、好評をいただいています。8回のオンライン開催を通して、40 名を超える方々に登壇いただき、約400の企業・団体の皆様に参加いただきました。参加企業とシーズを持つ企業とのマッチングが進み、ようやく共創の土壌が整ってきたな、と感じています。

インタビュアー:コロナ禍で、MICE業界の変革が進んでいますね。第9回目はリアルイベントとして実証実験を開催したとのことですが。

西川:オンラインの活動からさらに一歩を踏み出す形で、第9回は羽田イノベーションシティ(HICity)内のコングレスクエア羽田で実証実験イベントをリアル開催しました。別業種の技術やサービスでも、使い方によっては感染防止策になったり、イベント自体をもっと楽しくできたり、開催の付加価値を高めることができたりします。リアル開催の研究会で、新たな技術やツールの実装例を提案し、参加の皆様に実際に体験していただくことで導入を促進できれば、との思いから企画したものです。

西川:実証実験イベントは、ウィズコロナでのイベントや展⽰会、会議などで活用が期待される技術商品の発表と、その体験会という2部構成で、7社に参画いただきました(開催報告はこちら)。体験会では、実用を視野に入れた実機の検証機会として、各社のサービスや機器を見て、触って、体験いただきました。参加者の皆様からも、参画いただいた企業様からも、実りのある意見交換ができたと好評でした。当日の様子はテレ東NEWSにも取り上げていただきました(テレ東NEWSはこちら)。コロナ禍でのMICE業界の新たな取り組みとしての注目の高さが伺われ、チームとしても活動の意義を再認識するいい機会になったと思います。

インタビュアー:2年目を迎える研究会ですが、今後の方針や目標を教えて下さい。

西川:今後は、ウィズコロナのMICEの在り方も重要ですが、コロナで変容した生活やビジネススタイルに対応することがさらに重要になってくると思っています。ハイブリット開催もまだまだ続くでしょう。いままで距離や日程、時間が障害だったリアル開催の会議やイベントのオンライン化・オンデマンド化が進み、新たな市場や価値を生んでいて、技術やサービスも続々と開発されています。また、感染対策としても導入が進んだ非接触型の入場認証技術や、滞在や移動の履歴(トレース)などは、マーケティングツールとしても利活用が進んでいます。この大きな変化に乗り遅れないためには、業界の垣根を超えた、また、企業と企業、技術と技術、企業と技術など様々なタイプの共創が必要だな、と感じています。
オンライン開催に伴うマネタイズは喫緊の課題です。また、各地のMICE施設の有効活用やネットワーク化、MICE施設とユーザーや新技術のビジネスマッチング、産学連携や研究開発の事業化に対する支援、スタートアップなどへの投資やインキュベーション支援などもできればと思っています。今後は、第2回目の実証イベントに向けて、技術間や材料・要素技術と事業者とのマッチングをさらに推進していきます。ワーキンググループなどの新たな仕組みでシーズの深化を図りながら、実証を通じてMICEの新しいカタチの提案・実現を目指していきます。その過程で予期せぬ化学反応が起こって、それが次のイノベーションにつながる、そんな取り組みができればと思います。

インタビュアー:ありがとうございました。