「日本脳神経外科学会第84回学術総会」が 開催されました

若手医師や学生を対象とした次世代育成企画

2025年10月29日(水)~11月1日(土)の4日間、パシフィコ横浜にて「日本脳神経外科学会第84回学術総会」が開催され、株式会社コングレは企画運営を担当しました。
一般社団法人日本脳神経外科学会は、戦後の1948年に発足した伝統ある学会で、現在の会員数は10,000人を超えています。
ハイブリッドで開催された本総会には、約7,000名が参加登録し約4,000名が会場に集いました。各プログラムでは研究成果の発表や活発な議論が行われたほか、35歳以下の研修医を対象としたと特別企画「未来の脳神経外科医」や初期研修医・医学生を対象としたセッション「GREEN Project」など、次世代育成に注力したプログラムも行われ、大盛況のうちに終了しました。

「日本脳神経外科学会第84回学術総会」開会式
日本脳神経外科学会会員によって結成された管弦楽団
「Musica Neurochirurgiana」による開会演奏
戸田 正博 会長(慶應義塾大学医学部 脳神経外科 教授)

本総会のテーマ「脳神経外科医の問い -未知なる世界に挑む-」

本総会のテーマは、「脳神経外科医の問い -未知なる世界に挑む-」です。
戸田 正博 会長(慶應義塾大学医学部 脳神経外科 教授)は、テーマについてこのように述べられています。
「あらゆる分野において技術革新が加速度的に進み、数十年前には想像もできなかった世界が現実になっています。過去の経験や知識にとらわれずに、脳神経外科の未来を創造する『柔軟な思考』と『挑戦する姿勢』が必要です。一方、このような激しい変化の中にあっても、医師として患者さん一人一人に思いやりを持って治療にあたることが大切であり、難病を抱える患者さんの願いに答えようとする思いこそ、医療を発展させるための原動力です。日々仕事に追われ多忙な脳神経外科医が、一度足を止めて、これからどうすべきか、将来を見据えて自ら問いかけるきっかけになればという思いから、『脳神経外科医の問い』というテーマにいたしました」

プログラム

本総会では、会長講演、特別講演、基調講演をはじめ、シンポジウム、一般口演、ポスター発表、そして特別企画が全12テ―マで行われました。
特別講演2「脳とAIのアラインメント」では、ソニーコンピュータサイエンス研究所 茂木 健一郎氏が、人間の目的や価値観を反映するAIの在り方についてお話ししました。
また、戸田会長の「国際化が進む中で、日本から世界へ発信すべきこと、さらに世界を先導できることは何かを議論したい」という思いのもと、
アジア初となる NF2 関連神経鞘腫症の国際シンポジウム「2025 Satellite Symposium on NF2-SWN(NF2-SWNシンポジウム)」が併催されたほか、「International Federation of Neuroendoscopy Satellite Symposium(IFNSサテライトシンポジウム)」や、エチオピアとの将来にわたる緊密なパートナーシップと情報共有を目的とした「Ethiopia-Japan Joint Symposium(エチオピアー日本合同シンポジウム)」なども実施され、国内外の講演者による熱い議論が交わされました。

特別講演 2「脳とAIのアラインメント」
ソニーコンピュータサイエンス研究所 茂木 健一郎 氏
2025 Satellite Symposium on NF2-SWN(NF2-SWNシンポジウム)
「NF2関連神経鞘腫症の新しい分類と遺伝学」
D. Gareth R. Evans 先生

企業展示・共催セミナー

展示会場では、国内外の製薬企業や医療機器メーカーが、各ブースで製品・サービスを紹介しました。また、講演会場では、企業が主催する「共催セミナー」として「ランチョンセミナー」「アフタヌーンセミナー」「イブニングセミナー」「モーニングセミナー」が実施されるなど、参加者と企業の間で情報発信・収集が活発に行われる場が幅広く設けられました。

展示会場
「イブニングセミナー」にてスイーツとドリンクを配布

若手医師や学生を対象とした企画

未来を見据えた脳神経外科学の発展に向け、将来を担う若手医師や学生を対象に様々な企画が実施されました。これらは本総会のテーマ「脳神経外科医の問い -未知なる世界に挑む-」に沿ったもので、脳神経外科の魅力や幅広い活動が紹介されるとともに、未来の脳神経外科医像について多角的な議論が交わされています。コングレとしても、様々な形でサポートさせていただきました。

特別企画「未来の脳神経外科医」で次世代育成

脳神経外科医を志す若手医師の未来像や意欲の共有、次世代を担う優秀な人材の発掘・支援を目的として、特別企画「未来の脳神経外科」が実施されました。本企画のはじまりは、本総会の約8か月前にさかのぼります。

2025年2月、35歳以下の脳神経外科医および脳神経外科専攻を希望する初期研修医(2年目)を対象に、「私が目指す脳神経外科医像」をテーマとした"顔出しプレゼンテーション動画"を募集しました。全68演題もの応募の中から10演題が選出され、5月には通過者10名がプレゼンテーションを行う「選考会」が開催されました。選考会の結果、全員が入賞(優秀賞4名、入賞6名)しています。
そして、本総会の3日目、優秀賞の4名が特別企画11「未来の脳神経外科医」、入賞者の6名が特別企画12「若手セッション 未来の脳神経外科医」にて、それぞれ発表を行いました。
また、入賞者の特典の一つとして、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルで実施された「全員懇親会」にて表彰式が行われました。

特別企画11「未来の脳神経外科医」
全員懇親会で行われた入賞者の表彰式

「GREEN Project」で未来の脳神経外科医像を語り合う

本総会の4日目、国内の病院に勤務する初期臨床研修医(医師1~2年目)および医学部に所属する学部学生(5~6年生)を対象とした「GREEN Project」が実施されました。

GREEN Project とは?

GREEN Project は、等身大の若手脳神経外科医による特別講義やキャリアパス紹介、専門分野の紹介を通して、参加者が脳神経外科の魅力や奥深さに触れながら質疑応答や自由討論を行うセッションです。研修医や医学生などの次世代を担う若手に学術総会への参加を促し、講義の聴講と小グループでの討議を通じて脳神経外科や医学研究への知識・興味を深めてもらうことを目的としています。これは第77回学術総会から実施されており、今回で第8回を迎えました。

本プログラムは若手脳神経外科医が主導する企画で、今回は第1部「キャリア紹介」、第2部「サブスペシャルティ紹介」、第3部「フリートーク」の3部構成となりました。
第1部では現役医師が自身のキャリアを紹介し、第2部では各専門領域の特徴や魅力、研究の最前線が共有されました。第3部では、参加者162名と登壇者がグループに分かれて自由に意見交換を行い、仲間や先輩方と将来像や疑問を語り合いました。
セッション終了後にはオンデマンド配信も行われ、当日参加できなかった方にも視聴の機会が提供されています。

現役医師によるキャリア紹介
参加者からの質問タイム
現役医師と参加者のフリートーク
集合写真

また、会期前には、本総会の各日の見どころとGREEN Project に登壇する現役医師の紹介をまとめた冊子を、公式Webサイトで公開しました。冊子には、戸田会長の「学術総会という大きな舞台に積極的に関わっていただき、その体験を次なる成長の糧としていただきたい」という思いが記載されています。

本総会のテーマ「脳神経外科医の問い -未知なる世界に挑む-」のとおり、脳神経外科医療に携わる幅広い世代の医療関係者が、今後の脳神経外科の在り方について議論を交わす機会が多く設けられました。このような場の運営に携われたことをうれしく思うとともに、心より感謝申しあげます。