東京理科大学 大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)にて社長の武内紀子が講義

演習科目「実践CXO・起業家ケーススタディ」

2025年12月12日、東京理科大学 大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT※)の演習科目「実践CXO・起業家ケーススタディ」(担当:井上悟志教授)において、株式会社コングレ代表取締役社長の武内紀子が講義を行いました。

理科大MOTの演習科目「実践CXO・起業家ケーススタディ」とは

東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)(Management of Technology)は、社会人のためのビジネススクールであり、2年間で技術経営修士(専門職)を取得できます。院生の所属業界や職種は、金融や商社等の経営企画や営業職だけでなく、製造業やITの生産管理や研究職等にも広がっています。
理科大はMOT分野の専門職大学院で最古参の一校であり、2026年で開設23年目を迎え、1,000名を超える修了生はベンチャーの創業者や大企業の役員としても活躍しています。

今回、武内が講師を務めた「実践CXO※・起業家ケーススタディ」は、企業の経営者や起業家をゲストに迎え、その実績を支えた実践思考や行動哲学を徹底的に深掘りする演習科目です。

※CXO(シーエックスオー)とは、Chief X Officerの略で、企業内の特定の分野や機能における最高責任者を指します。CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などが代表的で、各専門分野の経営判断と戦略実行を担い、経営の効率化と専門性向上に貢献する役職です。 

MICEビジネスとMOTには親和性がある

講義では、武内自身のキャリア形成における重要な転機を振り返りながら、コングレが展開する3つの主要セグメント(コンベンション事業、展示会・イベント事業、施設運営事業)のビジネスモデルについて解説しました。
コングレがPCO(Professional Congress Organizer)として創業して35年。コンベンションの企画運営会社から事業を拡張し、受託運営事業に加えて直営MICE施設や主催展示会・イベントを手掛けるようになり、「MICEのトータルプロデュース」の事業ポートフォリオに到達するまで、自分たちのリソースをどのように活かし、社会情勢や顧客ニーズの変化に合わせて進化させてきたか。そのプロセスと考え方について詳しく述べました。

また、MICEビジネスとMOTは親和性が高く、武内は「皆さまの知見から学ばせていただきたい」と述べ、コングレが理工系の国際会議の企画運営にも携わっていることや、コロナ禍においてMICEがオンライン開催やハイブリッド開催に変化せざるを得ない中で、「MICEイノベーション研究会」を立ち上げ、製造業やIT企業などとのコラボレーションを通じて、DX、AI、ロボティクスの技術をMICEビジネスに取り込んできたことを紹介しました。

活発な質疑応答と交流

講義後の質疑応答では、院生の皆さまから以下のような質問が次々と寄せられました。

  • CEOとして大切にしていることは何か。

  • CEOとしての自分をどのように高めていったか。

  • CEOになった当時と今の違いは。

  • 次世代のCXOに求める資質は。

  • 次世代のCXOをどのように育成しているか。

  • 時代の流れを読んで事業をどのように選択しているのか。

  • 自身に役立った経験をどのように会社の仕組みとしていったか。

  • 属人化しやすい業務内容でどのように人材育成しているのか。

また、受講生の方々はあらかじめMICEの知識がほとんどない状態でしたが、感想として「MICEビジネスが単なるイベント運営ではなく、社会に新しい価値を生み出す産業であることがわかった」「これまでのイベントに対する考え方が変わった」「MICEを通じた地域活性化や教育活動への取り組みは、組織の利益だけでなく社会全体への貢献を重視する経営理念と一致していると感じた」といったコメントをいただき、非常に活気ある議論の場となりました。

当社にとってもたいへん刺激となった今回の講義が、受講された皆さまの今後の学びや実践の一助となれば幸いです。コングレは今後も、MICEを通じて新たな価値を創造し、社会の発展に寄与することを目指してまいります。

MOT(技術経営)とは:不確実な時代を勝ち抜くための経営戦略

MOTとは「Management of Technology」の略称で、日本語では「技術経営」と訳されます。これは単に「技術を学ぶ」ことではありません。科学技術が持つ可能性を正しく理解し、それをビジネス価値へと変換して、持続的なイノベーションを創出するための経営スキルのことです。

MBAとの比較

MBAは経営全般の「学位」であり、MOTは「技術を核とした経営手法」を指す専門分野です。MBAが戦略、組織、財務など幅広い経営知識を体系的に学ぶのに対し、MOTは技術革新を経営戦略に統合し、研究開発マネジメントやイノベーションなどを中心に学習します。MBAのカリキュラム内にMOTの科目が含まれることもあります。

MBA(Master of Business Administration)
  • 学位:経営学修士号

  • 学習内容:経営戦略、マーケティング、財務、組織論など、企業経営全般に関わる幅広い知識とスキル

  • 目的:経営全般を俯瞰し、企業全体をマネジメントするリーダーを育成する

MOT(Management of Technology)
  • 学位:技術経営修士号、または技術経営分野

  • 学習内容:技術革新のマネジメント、技術戦略、研究開発、知的財産、イノベーションなど、技術に特化した経営手法

  • 目的:技術を軸とした事業創造や競争優位性の確立を目指す