「東京サステナブルMICEショーケース」がTAKANAWA GATEWAY Convention Centerで開催されました

調達と循環からはじめる🌱サステナブルな選択のヒント

2025年11月4日、「東京サステナブルMICEショーケース」(主催:公益財団法人東京観光財団)が、TAKANAWA GATEWAY CITYの「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」で開催され、株式会社コングレは企画運営を担当しました。
株式会社コングレは、株式会社JR東日本ビルディングから運営業務を受託し、今回の会場である「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」の予約とオペレーションを担当しています。PCO(Professional Congress Organizer)としての企画運営と施設運営の両面から、本イベントの成功をサポートさせていただきました。

カンファレンス会場
地下2階 「LINKPILLAR Hall A」

調達と循環からはじめる🌱サステナブルな選択のヒント

大規模な国際会議をはじめとするMICEの開催にあたっては、持続可能性を意識した取り組みが不可欠となっています。
本イベントは「調達と循環からはじめる🌱サステナブルな選択のヒント」をテーマに掲げ、MICEをより持続可能な形で開催するために、主催者および関連事業者が取り組める実践例を示すことを目的に開催されました。

東京サステナブルMICEショーケース 開催方針

サステナブルなMICEを開催するには、サステナブルな運営方針の策定、方針に基づいた実施、そしてその情報公開の3点が重要なポイントとなります。
本イベントでは、開催方針として大きく分けて5つのカテゴリー「調達と循環」「ウェイスト削減」「カーボンニュートラル」「多様性」「コミュニティ」を設定。それぞれのカテゴリーにおいて多様な角度から具体的な取り組み方針を策定し、それに基づいた取り組みをショーケースにおいて実施しました。
また、本イベントへの参加をきっかけに、環境配慮への意識を高め、行動につなげることを目的として、参加者には事前にサステナブルな取り組みへの宣言(My Pledge)をお願いしました。

開催方針

基調講演

基調講演では『発想から実現へ:リジェネラティブ(再生的)なイベントデザイン』をテーマに、Global Destination Sustainability Movement(GDS-Movement)のCEO兼チーフ・チェンジメーカーであるガイ・ビッグウッド氏が登壇されました。
GDS-Movementは、観光・イベントの視点から都市のサステナビリティ度を可視化する世界唯一の指標「GDS-Index」を運用し、都市に対して、社会と自然がともに繁栄し続けられるよう、そのための思考、戦略、スキルを提供することを主たる事業としています。
コングレは、2022年6月にGDS-Movementと日本における独占的な戦略的パートナーシップを提携して以降、「GDS-Index」の日本のMICE推進都市への普及促進とコンサルティングを行う国内唯一の窓口として活動を進めています。

基調講演の中でビッグウッド氏は、"環境に悪いことを減らす"だけでなく"自然や社会に良い影響を生み出す"という新しい考え方「サステナビリティからリジェネレーションへ」を提示し、実際のイベント企画や運営に取り入れるにはどのようなアクションができるかを具体的に解説しました。また、世界各都市で開催されるイベントが創出するレガシーの先進事例や、サーキュラーエコノミーをはじめとする国際的な潮流についても紹介しました。参加者からは高い関心が寄せられ、講演後に行われた質疑応答も非常に活発なものとなりました。

GDS-Movement CEO ガイ・ビッグウッド氏

「TAKANAWA GATEWAY CITY」の街全体での取り組み

「サステナブルな街にあるMICE施設」
TAKANAWA GATEWAY CITY/TAKANAWA GATEWAY Convention Center(東⽇本旅客鉄道株式会社)

「TAKANAWA GATEWAY CITY」は「100年先の心豊かなくらしのための実験場」を掲げ、街全体で、バイオガス・水素・多様な再生可能エネルギーを活用しサステナブルなまちづくりを推進しています。
今回は、施設全体のエネルギー循環の仕組みがわかる模型を展示するとともに、東日本エリア初となるビルイン型バイオガス施設について紹介しました。これは、飲食店やTAKANAWA GATEWAY Convention Centerなどから出る食品残渣を資源として再利用し、発酵させてガス化することで食品廃棄物の約7割の減量を見込むとともに、生成されたガスを燃料としてビル内の温水ボイラーを使用しホテルの給湯における約10%の熱を賄うものです。本イベントでは食品残渣が発生しなかったため利用の機会はありませんでしたが、MICE開催時に食品残渣を活用し持続可能なエネルギー循環を実現する仕組みは、今後のイベント開催に向けた先進的な取り組みとして注目されました。
なお、本イベントの会場となった「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」では、高輪ゲートウェイ駅から始まり、Gateway ParkやTAKANAWA GATEWAY CITY全体を会場と見立てて、街全体がMICE会場となる「街ごとMICE」を展開しています。

TAKANAWA GATEWAY CITY/TAKANAWA GATEWAY Convention Center(東⽇本旅客鉄道株式会社)
マーケティング本部まちづくり部門品川ユニット 寺田菜々美氏

TAKANAWA GATEWAY CITYのエネルギー循環の仕組みがわかる模型とTAKANAWA GATEWAY Convention Center施設概要

出展企業による持続可能なソリューションの紹介

本イベントでは、参加者がMICE開催時に活用できるサステナブルな施策を紹介するブースを設置し、併せて理解を深めるためのプレゼンテーションの時間を設けました。
当社は、展示内容で様々な施策をご紹介できるよう、本イベントの主催者と議論を重ね、複数の分野から出展企業を選定のうえ、提案および調整を行いました。
また、出展企業の皆さまには、準備および開催時に実施可能なサステナブルアクションへのご協力をお願いし、イベント全体で持続可能性への取り組みが浸透するよう努めました。

出展企業によるサステナブルなソリューションの紹介はこちらです。

「障がいのある人と共に創るデザイン」
本イベントのキービジュアルをデザインした一般社団法人シブヤフォント
「サーキュラーエコノミーを実現する空間演出」
ユタカワンファブリカシステム株式会社によるバックパネルの組み立てデモンストレーション
「多様性に配慮したウェブサイト」
誰もが使いやすいウェブサイトを提案するファシリティジャポン株式会社
「工夫が叶えるサステナブルな施工」
施工でサステナブルな取り組みを実装する株式会社アコースト・コーポレーション
「リユーザブルカップで紙コップの使い捨てをゼロに」
本イベントで使用した株式会社Circloopのコーヒーカップとウォーターカップ
「空間を彩る、サステナブルなレンタルグリーン」
株式会社ユニバーサル園芸社の残布をアップサイクルしたフラワーアレンジの吊り装飾
「100%紙素材/防炎の段ボール装飾」
株式会社コンバートコミュニケーションズの段ボード素材は、会場内のパネル装飾などに活用
「100%オーガニック&ヴィーガンのアイスクリーム」
スタンプラリーでサステナブルなキーワードを集め試食できる株式会社星めぐり社のデザート
「持続可能性に配慮したケータリング」
ネットワーキングで提供されたフォリクラッセのお料理
地産地消をコンセプトにしたメニューや東京産の飲料をご提供

また、環境配慮の取り組みを実施するための支援を行う東京観光財団の「サステナブルMICEサポートデスク」が設置され、来場者からの問い合わせ等に対応すると共に、本イベントにおいて掲げたCO₂削減に向けた主な実施内容と削減効果が掲示されました。

サステナブルMICEサポートデスク
CO₂排出量の削減に向けた主な実施内容と効果を公表

地元の学生によるアトラクション

地元の学生によるアトラクションとして、高輪ゲートウェイ駅近くにキャンパスを構える東海大学吹奏楽研究会の皆さんに参加いただきました。演奏には廃棄物から生まれた"廃材打楽器"も使用され、力強い音色が会場を包み参加者を魅了しました。

東海大学吹奏楽研究会の皆さんの演奏でネットワーキングがスタート
演奏後に展示された"廃材打楽器"

企画運営担当者のコメント

今回のショーケースでは、主催者の皆さまとの綿密な打ち合わせを重ね、まさに"ワンチーム"として取り組むことで、サステナブルなMICE運営を実現することができました。参加者の皆さまに映る部分だけでなく、運営の裏側においても徹底してサステナブルな取り組みを組み込んだことは、本ショーケースの価値をさらに高める要素になったと感じています。
また、調達段階から開催後の処理に至るまで、一連のプロセスを包括的に検討する機会は非常に貴重であり、主催者の皆さまとご相談を重ねながら準備を進めていく中で、私どもも多くの学びと気づきを得ることができました。
本ショーケースを通じて、今後MICEを開催される皆さまが、より持続可能な運営に向けたヒントを持ち帰っていただけたのであれば、これ以上うれしいことはありません。会期中、多くの参加者の皆さまが明るく積極的に交流されている様子を拝見し、この取り組みや学びの「場」を提供できたことに、PCOとして大きな意義を感じています。
最後に、本ショーケースの実現に向けて共に尽力したコングレチームメンバーをはじめ、この取り組みにご賛同いただいた関係者、出展企業の皆さまに厚く御礼申しあげます。

公益財団法人東京観光財団 コンベンション事業部 安孫子 帆氏(右)と
コングレの企画運営担当者 鈴木 渉子(左)

主催者のコメント

本ショーケースは、昨年に続き2度目の開催となりました。参加者の皆さまに、「サステナブルな一歩を踏み出してほしい」という我々主催者としての強い想いのもと、基調講演や展示ブースだけでなく、学生によるアトラクションやサステナブルなお食事、そして参加者を巻き込んで、本ショーケースでの取り組みを楽しく学べるスタンプラリーを実施するなど、さまざまな仕掛けを通じて、参加者の皆さまの前向きなアクションにつながるような構成にこだわりました。
サステナブルと聞くと、難しさやハードルの高さを感じる方も少なくありません。だからこそ、一目見て「わくわくする」「自分も取り入れてみたい」と自然と感じられるよう、デザインや空間全体の統一感を特に大切にしました。昨年も素晴らしい出展者にご協力いただきましたが、今年はさらに実践的で、すぐに自身のMICEで活用できる知見やサービスを提供できる企業・団体をお招きし、より具体的な交流機会が生まれたことは大きな成果です。
参加者の皆さまからは、ネームバッジや看板など、開催テーマである「調達と循環からはじまる サステナブルな選択のヒント」を体現した取り組みや、出展者との対話を通じて新たな気づきを得られたという喜びの声を多数いただきました。まさにアクションが生まれるきっかけとなれたこと、大変うれしく思います。
運営を委託した株式会社コングレ様には、私たちの想いやメッセージをどのように形にすべきか模索する中、粘り強く伴走いただきました。デザイン提案から当日の運営まで、滞りなくイベントを成功に導いてくださり、心より御礼申し上げます。