施設・人材サービス事業本部
清水いずみ(Izumi Shimizu)・近藤慎(Shin Kondo)・木村豪志(Takeshi Kimura)
モデレーター:もう少し細かく、仕事のことについてお聞きします。近藤さんの開発のプロジェクトはどのくらいの期間かかるものなのでしょうか?
近藤:短いものでも、完成の2~3年前くらいからの案件が多いですね。施設の構想段階からかかわるものでは、10年以上先のプロジェクトなどもよくあります。
モデレーター:かなり息の長い仕事なのですね。ちなみに、具体的にどのような内容をコンサルティングされるのですか?
近藤:数年前までは、会場のレイアウト・設備・動線などについても、国際会議の運営をするには?に特化した内容が多かったですね。それが、最近はより広範に、どうやって人を集客するのか、「賑わい」を継続的に生み出すにはどのようなコンセプトがよいのかという観点でのご相談が多くなってきたと感じます。
例えば、ある地方都市の駅前開発の事例ですが、新幹線の開業に合わせて大規模な駅前の再開発が計画されており、その際にイベントや国際会議の開催により賑わいを生み出す目的で、MICE施設の開発が進んでいます。当社も開発前から計画に携わっていますが、運営面だけでなく、開業後に、施設をどうやって盛り上げていくか、すなわち、イベント開催により継続的にハコを回していくエンジンとなる、企画の部分の重要性をひしひしと感じています。
モデレーター:もともとある地域の魅力をうまくつなげてコンテンツにしていくイベントが求められているのですね。
近藤:施設の内容は図面から読み取れても、それ以外に、実際に行ってみないと気づけないことがたくさんあります。例えば、広大な敷地に非常に立派なコンサート施設が計画されている場合でも、駅から会場まで歩いてみると、閑散とした住宅街が続いているとすると、これではハコに見合った集客イベントが本当に開催できるか、ということになりますよね。地域の魅力も、実際に行ってみないと気づきづらいものの一つです。例えば、開発地の周りをちょっと歩くと雰囲気のよさそうな横丁があって、後で調べると地域のイベントなどが定期的に開催されていて、施設とうまく連携できそうだな、と考えることもあります。僕自身、知らない街を歩くのは好きなので、視察の時は、そんなことを考えつつ、街並みを眺めながら歩いています。
モデレーター:みなさん好きなこととリンクしてますね。
木村:そうですね。僕はアニメが好きなので、アニメに関わるイベントを何かやりたいなと思っていました。名古屋市の施策の中に、ブランドづくりの一環でポップカルチャーを振興していきましょうというものがあります。そこへ寄与出来たらいいなという思いもあり、自分が発起人となりアニメの上映会を企画、実施しました。その時は、自ら制作会社に掛け合い、関係性をつくって実施までこぎつけましたね。
モデレーター:企画は自由にできるんですか?
木村:はい。NCCの館長の方針が「社員が自分から企画してプロデュースしなさい」というものなんですね。だからこそ環境なのかもしれないですね。あとは、地元のカラーや「なぜここでやるのか」という理由づけがすごく重要です。イベントの内容はなんの企画でもよいわけではなく、特産品や地元の良いものをうまく活用していくことがポイント。例えば、大正琴東夷楽器は名古屋発祥なのですが、意外とみんな知らない。これを施設でイベントをうってPRしていくんです。そういうはっきりした目的がないと、自分自身納得して進められないし、やっていてもイベント軸がぶれたりしてしまいます。
近藤:ある地域でイベントを実施するには、「なぜここでやるのか」がしっかりしていないと、地域の方々との感覚や熱量にズレが出たりして、協力体制を築きづらいような気がします。イベントでも施設でも、企画の仕事では、その材料探しのため、どれだけ高く広い分野にアンテナを張っておけるかが一番の肝だと思っています。パワーのいる仕事ですし、やっぱり好きな物で、自分が担当してエネルギーがわいてくるようなネタの方がモチベーションもあがるし楽しいですよね。
木村:そうそう、好きなことをどれだけ持つかかということが重要だと思います。