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国際会議の現場から持続可能な
開発目標(SDGs)を考える

対談

国際会議の現場から持続可能な
開発目標(SDGs)を考える

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals) 、通称SDGs。持続可能でよりよい世界を目指す17のゴール・169のターゲットから構成された、2030年までの達成を目指す人類共通の目標です。今回は、国際会議の現場から、SDGsの取り組みをご紹介します。

対談者:コンベンション事業本部
秋山晴近(Haruchika Akiyama)、伊藤喜剛(Yoshitaka Ito)、三觜優香(Yuka Mitsuhashi)

モデレーターSDGsへの取り組みが顕著になってきていますが、最近の事例をいくつか紹介してください。

秋山:もともと、会議の現場では、ペーパーレス、デジタルの活用など、環境への配慮は以前からしていますが、最近担当した会議の中でさらに踏み込んだのは、「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」です。会議自体が持続可能性を論じるものですので、環境には特に配慮しました。

まずは、脱プラスチックの取り組み。ストローは廃材利用の木のストローにしたり、ペットボトルは廃止して、サミットロゴ入りのタンブラーでマイボトル運動をしたりしました。本会議参加者の水は、リユースできる瓶入りを用意。地産地消で長野県のお水です。ストラップは、オーガニックコットンを使用し、IDカードケースは、海洋生分解性樹脂を使用する、などなど。これはほんの一例で、脱プラに関しては、これでもか(笑)、というほど実施しました。

伊藤:エネルギー大臣会合でもあったので、電力の調達にも環境配慮を心がけました。電力はすべて水力発電のみで供給し、CO²フリーに挑戦しました。供給する距離が離れれば離れるほど、送電中にロスが発生し、環境に負荷がかかってしまう。その軽減のため、「地産地消」にこだわって、長野県で水力発電されたものに限定しました。全国でも非常にめずらしいケースになったと思います!

モデレーター:「地産地消」という観点でいえば、SDGsの目標の8番「働きがいも経済成長も」や12番「つくる責任、つかう責任」に通じる取り組みですね。飲食の地産地消はよくありますが、再生可能エネルギーの地産地消は、初めて聞きました。導入までの経緯を教えてください。

伊藤:これは、コングレが自然電力(株)と発案し、中部電力(株)、長野県にご協力いただき、調整してやっと実現にこぎつけました。はじめは自然電力さんとコングレで検討を開始したのですが、中部電力さん、長野県さんにもご参加いただけることになり、おかげで会場のみならず宿泊先や展示会場にも地産地消CO²フリー電力を供給でき、大きな取り組みにつながりました!

せっかくなので実際にどれくらいのCO²フリー電力が供給され、会場内で使用されているかが逐一見える中部電力のシステムを使用し、本会議場のLEDモニターに投影しました。各国大臣にも日本の技術や環境配慮への取り組みがPRできたと思います。

三觜:私はこの会議に携わって初めてSDGsを考え始めました。何気なしに使っていたプラスチック製品を、どうやって持続可能なものに置き換えるか、試行錯誤の連続でした。気にし始めると、プラスチック製品はそこかしこにあって、感度を高くしておかないと、見逃してしまうな、と。これを機に、その他の担当イベントでも結構気になってしまって(笑)

この会議を担当するまで気づかなかったのですが、例えば、祈祷ルームを設置したり、マニュアルや看板表記の多言語化したり、どこでもしていることが、実はSDGsに繋がっている、ということが分かったのも大きな収穫でした。私たちの仕事が、少しずつかもしれないですが、社会問題の解決に役立っている、と思うと嬉しく感じました。

モデレーター:持続可能性を論じるG20以外の会議やイベントでもSDGs達成に向けた取り組みはされているのでしょうか。

秋山:もちろんです。ちょっと古い話ですが、2017年に横浜で開催したアジア開発銀行年次総会(ADB総会)では、サステイナビリティに関して細かく要件の記された「グリーンブック」という調達のガイドラインのようなものがあり、環境への配慮が厳しく求められました。食品ロス削減だけでなく、レッドリスト(国際自然保護連合が作成した絶滅のおそれがある野生動物のリスト)の食材を使用しない、など日本ではまだなかなか見かけない内容もありました。

伊藤:食事に関していえば、昨年9月に開催した国際博物館会議(ICOM)京都大会2019では、ノーマル・ベジタリアン・ハラルに加えグルテンフリーも食事の選択肢として提供しました。ニーズが年々多様化している実感とともに、食にもさらに繊細なユニバーサル対応が求められていると感じました。参加者の意識も非常に高くなっていて、ペットボトルの水を出せば、海外参加者からは環境への配慮を疑われる時代になっています。食事の残飯もしかりです。

秋山:海外の国際本部の会議などに参加すると、サステイナビリティは当たり前に論じられます。海外の方が確かに認識は進んでいます。が、そういう状況を目の当たりにする我々だからこそ、先進的に取り組み、さまざまな事例を共有して、国内の主催者や、関係者とともに更なる取り組みを推進する、という立場にいるのかな、と思っています。主催される方々に提案したり、また、私たちがつくる会議の場で参加される方にも働きかけができるのは、PCO(Professional Congress Organizer)ならでは、だと思います。

三觜:私は、今回改めてSDGsを学んだのですが、やってみて思ったのが、SDGsというと非常に難しいもののようですが、実はいつも意識しないでやっていることの延長線上にあるな、ということです。国際会議でなくても、例えば、医学会などを地方で開催する場合は、「地産地消」で、地元の食を楽しんでいただけるような機会を提供しますし、学会アプリなどで地元の観光施設などを紹介し、地域への回遊を支援します。もちろん紙は削減していますし、消費電力の削減などもしかりです。私たち自身は、提案する立場として、SDGsでいうところの17番「パートナーシップで目標を達成しよう」を推進するところにいるのかな、と思います。とかく、環境配慮の部分が語られがちですが、新たな技術を使ってイベントなどを演出したり、そこでまたパートナーシップが広がって、と、考えると、まだまだできることは多いのかな、と思いました。

モデレーター:SDGsというと、環境への配慮が先行していますが、たとえば、女性の活躍や、地方経済の活性化、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みなど、様々なものがあります。今回は、会議の現場でのわかりやすい取り組みをクローズアップしましたが、実は、それ以外にも非常に近いところにあるということがわかりました。ありがとうございました。