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「IT&CMA Asia 2019」参加レポート~World PCO Allianceメンバーとして登壇しました~

レポート

「IT&CMA Asia 2019」参加レポート~World PCO Allianceメンバーとして登壇しました~

2019年9月24日から、バンコクで開催されたIncentive Travel & Conventions, Meetings Asia (IT&CMA Asia)2019に参加しました。

「IT&CMA Asia 2019」は、アジア・パシフィック地域で最大規模のMICE(※1)トレードショーで、MICEを誘致したい都市の観光局やコンベンションビューロー、私たちのようなPCO(※2)、その他各方面の関係者が一堂に会するイベントです。会場はバンコクのBangkok Convention Centre。MICEの誘致を目指す各国の団体が地域の魅力をPRするような展示や、世界の最新トレンド・事例を紹介するコンファレンス、MICEに関わる多方面の方々とのネットワーキングイベントなどで構成され、3日間で約3,000名が参加したとのこと。

このイベントの特徴は、参加者にアジア太平洋地域のMICEに関わるインフルエンサーやプランナー、意思決定者が多いということ。影響力の強いバイヤーも多く、展示会やコンファレンスへの参加を通じて、セラーとバイヤーが直接つながる機会になるというのも強みではないでしょうか。

(※1)MICEとは、Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Eventの頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称。
(※2)PCOとは、Professional Congress Organizer/ 会議運営専門会社の略で、会議開催に係る業務、またはこれに関連して派生する一切の行事に係る業務を取り扱うための専門能力を持った会社または個人を指す。

今回、このイベントには、ICCA(International Congress and Convention Association) と World PCO Alliance の合同企画のパネルディスカッションの登壇者としてご招待いただきました。

ICCAとは、国際会議やコンベンションの情報を交換するための非営利の業界団体です。World PCO Allianceは、2009年にコングレが中心になり立ち上げた世界各国のPCOのアソシエーションで、19か国のPCOが加盟しており、緊密に連携しながら情報交換をしている団体です。会議の誘致は世界各国との勝負。生きた情報や意見を交換しあって、誘致のプロモーション活動の企画立案の参考にしたり、戦略を練ったりと、非常に活発に活動しています。実は、コングレはWorld PCO Allianceの設立以降、事務局を務めており、今回はその代表の一人として、また、日本のPCOの代表として登壇する機会をいただきました。

普段私たちは、PCOとしてお客様をお迎えする側。今回は、招待を受けての参加でしたので、先方のホスピタリティサービスは興味深く体験させていただきました。例えば空港到着時には、ボーディングブリッジまでスタッフの出迎えがあり、電動カートで移動のうえファストレーンでの入国審査。スタッフが、ターンテーブルで荷物を受取り、出口まで随行する、という手厚い接遇。日本の空港のおもてなしの困難さがわかっているだけに、そのスムーズさに感心しました。

2日目からいよいよ会場入り。開会式に参加したり、各国の代表の方にご挨拶させていただいたりと、非常に有意義なスタートでした。この日の活動で印象深かったのは、朝一番に参加した、Passionate Breakfast By ICCA and TTGmiceです。Passionate Breakfastは、2018年から始まった朝食ミーティングの企画イベントで、毎年のテーマに沿った発表を聞きながら朝食をいただく、というもの。今年のテーマは、「コミュニティヒーローズ」。MICEを通じて、地域に貢献している「ヒーロー」たちの事例の発表でした。

マリーナベイサンズシンガポールのAilynn Seah氏は、マリーナベイサンズの行った、地域のサポートプログラムについて。シンガポールに拠点を置くDMCディスコーヴァのSandy Peamsomboon氏は、本物の素晴らしい体験を提供する、という同社の目的を達成しながら、地元の人々に教育とキャリアの機会を提供するという同社のコミットメントをお話されました。

印象に残ったのは、タイのバンコクにあるリゾート施設、スアン・サンプランのArrut Navaraj 氏のお話です。同施設では、有機農法とフェアトレードに基づくビジネスモデルを開発。生産者(農家)、消費者(ホテル/レストラン)等をパートナーとし、利益を分配しながら生産者を支援するシステムを成功させているとのこと。この取組は“サンプラン モデル”と称され、近年他のホテルやレストランでも共有され、タイ国内で注目されている様子でした。

ICCAのNusheena Shahimi氏は、コミュニティの支援は資金を提供する企業だけの問題、というわけではない、とご自身の経験をもとにおっしゃったことが印象的でした。MICEにおいてサステイナビリティが語られて久しいですが、環境保護の文脈で語られることが多いのが現状。貧しいコミュニティの支援や、新しいビジネスモデルの創造を通じて、地域や社会の問題を解決する手立てにもなる、ということを改めて認識させてもらうきっかけになりました。

翌日は、展示会場を視察し、コンファレンスのプログラムの中から気になるセッションを聴講。当社もメンバーである、IAPCO(International Association of Professional Congress Organisers/国際PCO協会)が企画する教育セッションもありました。

そして、翌日に迫るパネルディスカッションの事前打ち合わせも実施。私が登壇したパネルディスカッションは、ICCA と World PCO Alliance のコラボレーションの “Face Off: Should CVBs(コンベンションビューロー) And PCOs Work Together For Greater Success?“ (対決:コンベンションビューローとPCOはより大きな成功のために協力すべきか?)というもの。つまり、MICE誘致を地元として推進するコンベンションビューローと、主催者とMICE誘致を推進するPCOは協力すべきか、というかなり挑戦的なタイトルです。そもそも業界関係者にとって、このタイトルの答えはYes以外ありえないのですが、「ディベートなんだから与えられた役割に徹して相手を言い負かすこと!」とモデレーターを担当したICCAのNoor Ahmad Hamid氏より念をおされ、大まかな段取り確認のみで終了。

いよいよ当日。登壇者は、コンベンションビューロー側は、マレーシア・ペナン州のTricia Loh氏とマレーシア・サワラク州のAmelia Roziman氏の2名。PCO側は、シンガポールのPCO、Nancy Tanと日本のPCO代表の私の2名。前日まではどうなることかと思いましたが、ほぼ満席の会場からは、多くのコメントや質問をいただき、非常に盛り上がったセッションとなりました。議論の最後には、「MICE業界が会議開催地のコミュニティに貢献していくためには、両者の協力が欠かせない」という点で意見が一致。私自身は用意していた内容のすべてを話すことができず、反省点は多いものの、貴重な経験になりました。

本イベントへの参加を通じて、アジア・パシフィック地域で活躍する同じ業界の仲間とたくさん意見交換ができ、新たな気づきにつながる良い刺激になりました。今回の登壇でのディベート対立は形式だけのものですが、ときには彼らが実際の競合相手になることも。ICCA、World PCO Alliance、IAPCOに加盟の他企業・団体もしかりです。ただ、こういったアソシエーションには、この業界をよりよくしたいという思いでメンバーが集っているためか、ファミリー的な一体感も強く感じます。MICEに携わる世界中の仲間たちに刺激をうけながら、みんなで一緒に取り組めるのがこの業界の面白いところではないかと思います。日本の情報もどんどん発信しながら、業界全体の活性化につながるような取り組みができればと思います。