施設・人材サービス事業本部
野副 晋(Susumu Nozoe)・平岩 真梨那(Marina Hiraiwa)・鈴木 志萌(Shiho Suzuki)
野副:千葉市科学館でコンテンツに関わる部署の責任者をしています。具体的には、実験教室やトークイベント、企画展などを企画・実施したり、外部の機関と連携して様々な事業を展開したりする仕事です。責任者ではありますが、事務所にずっとこもっているわけではなく、現場に立つこともあります。
モデレーター:科学館で実施する実験教室などのコンテンツは誰が考えるのですか?
野副:イベントなどのアイディアを考えるのも、集客をするのも、お客さまの誘導などの運営も私たちコングレのスタッフの仕事です。プラネタリウムだけは別の会社さんが担当されています。
鈴木:私は六本木ヒルズ東京シティビュー(以下、ヒルズ)をまとめる統括ディレクターとして現場に常駐しております。業務内容としては、スタッフの教育をメインとして、展示会に合わせた人員配置から、この日が混む/混まないという強弱をつけたりする混雑計画、マニュアル作成、オペレーション等を、クライアントの担当の方と一緒に決めながら日々の運営にあたっています。私も普段は事務所で事務作業半分、現場での巡回半分。展示会の初日などは、私も現場ディレクターと一緒に現場に立ちますね。
平岩:鈴木さんの前にヒルズで統括を担当していました。その経験を活かし、今は本社で関東にある文化施設の取りまとめをしています。関東の文化施設は複数個所ありますが、施設間は離れており物理的な距離があるため、本社の情報が行き渡らなかったり、各施設で起こっている問題や良い取り組みが共有されなかったりすることがあるんですよね。それを避けるため、定期的に現場を訪れ、各現場のケア、フォローをする役割をしています。また、新しいディレクターの面接も担当しています。
平岩:大学生のときにアルバイトとして2008年4月に入社しました。姉がもともとヒルズでアルバイトしていて、「楽しいから働いてみれば?」と勧められたことがきっかけでしたね。
鈴木:私も当時兄が六本木ヒルズのディレクターをやっていて、紹介でアルバイトを始めました。
モデレーター:アルバイトから社員になりたいと思ったきっかけはなんですか?
鈴木:ほんとうに恥ずかしながら、アルバイトの時に「私がいないと現場回んないでしょ!」くらいのことを思ってたんです笑。ヒルズがすごく合ってたんだと思います。
野副:最初のキャリアは研究施設で、7年半勤務していました。その後、日本科学未来館(以下、未来館)に科学者や技術者と一般の方々をつなげる科学コミュニケーターとして入社しました。研究施設を離れるとき、科学コミュニケーターになりますっていろいろな方々に挨拶したら、10人が10人「合ってると思うよ」って。
未来館での1年目は、展示物の解説やサイエンスショーなどを担当していました。その後4年間、展示やイベント企画の部署を経験したのちに千葉市科学館に移り、その千葉市科学館の指定管理者がコングレに変わった機会に入社しました。思い返せば、学生の時から人前で喋ったりとかイベントやったり、お祭りごとが大好きだったんですよね。研究施設で働いていた時も、一般の人向けのイベントで子供たちの相手をしてるのがすごく楽しくて。
モデレーター:鈴木さん、平岩さんが担当してきたヒルズではクライアントが考えた企画を運営する業務がメインだと思います。企画を自分で立ち上げるとか、自分から何かを発信するということについてはやってみたいと思いますか。
平岩:正直、私は企画したり、何か作り上げるのは得意ではなくて。例えば、1を10にするのはすごく好きで楽しいなと思えるんですけど、0から1を作るのは苦手な方だと思います。なので、今の仕事は既にあるものを調整したり、間に立ったり、バランスとったりの仕事が多いです。野副さんのお話を聞いていてすごいなと思って聞いていました。
野副:私たちの仕事で企画するというのは、何もない所から生み出すというより、すでにあるものをどう面白く魅力的に見せるかだと思うんです。例えば、地球と同じような惑星が見つかって、生き物がいるかも知れないということが話題になったとします。それをいかに面白く、あるいは興味を持ってもらえるようなイベントにできるかということだと思います。もっと具体的には、ついこの前のイプシロンのロケットを打ち上げるというニュースがありましたね。その話題を、ロケットが「打ち上がる」というだけではなく、載せている衛星の学術的意義や私達の暮らしにとってどういう意味があるのかといったことも含めて、どう伝えるかっていう手法を考える、元ある「1」という材料をどうやって「2」「3」にしていこうって考えるのが企画だと思うんです。
鈴木:私も1から企画をするのは作るのはあまり得意ではないですね。企画しているクライアントさんを見ていて思うんですが、自分の好きなものを見つけてきて、関係者を集めて、形にしていくってバイタリティーがあってすごいなと思うんです。一方、私は人の方が好きだなと思うので、うちのスタッフがどう楽しく働けるかを考えたり、お客さんがどうしたら楽しいかっていう方を考える方が好きなんだなって最近思います。
野副:やはり、企画の参加者に「面白かった」「ためになった」と言っていただけるのが一番のやりがいですね。また、立場上スタッフを指導することも多いので、一緒に働くスタッフが経験を重ねるごとに出来ることが増えていく様子を見ると嬉しいです。科学という普遍的な分野を扱ってはいるけど、私のしている仕事は、来場者やスタッフ相手の仕事。相手が生身の人間なので、いろんなことが起きます。当然すべてをマニュアルに落とし込むことは絶対にできないし、そこが難しいんですが、無事に終わった時には良かったなと思いますね。
鈴木:私も野副さんと共通して感じているやりがいは、スタッフの成長ですね。ヒルズにはアルバイトスタッフを指導する立場のディレクターが数名いるのですが、多くのディレクターはアルバイト出身なんです。ディレクターは責任者としてクレーム対応やクライアントとの折衝をすることもあるのですが、ディレクターになりたての時って、社会人としての話し方やマナーがなっていなかったり、社外の人にメール1件送るのも緊張するんですよね。社会人としてどのようにふるまえばよいのか教えたり、時にはカバーしながら指導するのですが、2年ぐらいたった子がこれ私やっときますね!って言って、臆せずクライアント対応をしてもらえるようになると、あーこんな立派になったなと思ってすごく嬉しいし、やりがいに感じます。
それから、マニュアル作る作業がとても時間かかるんですよ。100ページぐらいのマニュアルをクライアントにチェックをもらって修正して、主催者にチェックをもらって修正して、と何度も修正に修正を重ねます。3か月間続いた展示が終わって、苦労して作ったマニュアルを見返すと、大きなクレームも事故もなく終わってよかったと毎回感じられます。この仕事のやりがいを感じる瞬間で、仕事を続けられている理由かもしれないです。
平岩:最近一番やりがいを感じたのは、自分が面談、研修、サポートした人たちが、段階を踏んで成長してると感じた瞬間ですね。それぞれの適性や今後コングレでどう活躍してほしいかを考えて配置をするんですが、現場や業務でその人のよいところが上手く発揮されたり、「本当楽しいです!」とか「入ってよかったです!」と言ってもらった時はすごくうれしいです。
野副:コングレの事業だけでなく、指定管理者制度の現状も含めてですが、科学館業界を変えていきたいなと思います! 今、自分が担当する科学館だけでなく、コングレが関わる他の科学館のコンペやマネジメントまで関わらせてもらえる可能性のある立場だと思っています。もっと科学館業界にこういうこともできそう、というエッセンスを入れていきたいと思います。
今、何が悔しいかって、私には子どもが二人いますが、あまり科学館に遊びに来てくれないんですよね。自宅から少し離れているし、私の前職の未来館によく行っていたので目新しくないということもあるかもしれませんが、小学5年生の娘にとっては、それよりも他に興味関心がたくさんあるみたいで…。
今は世の中にいろいろなモノが溢れていますが、科学館や科学そのものに興味関心が向かない子どもたちも含めて、いろいろな人が来たいなって思ってもらえる場所にしたいです。少なくとも、まずは千葉市科学館をそうしたいと思います。
科学館は子供向けという印象が強いと思うんですが、大人も一緒に来て楽しい、学校教育の延長線上じゃない科学の面白さを知ったり体験したりできる場所なんだと思ってもらえるようにしたいですね。今偉そうに言ったところで、何ができるか分りませんが。笑
モデレーター:すごいですよね。コングレは、いま5館目を担当することになって、科学館で実績を積んできていますよね。
鈴木:いまのビッグな話から、個人的な話になってしまいますが、11月に結婚をしたんです。ただ、ヒルズは年中無休で、営業時間がとっても長くて、金土日祝は深夜まで開いている。そんな状況では、子供が出来たら現場に常駐してバリバリ働くのは難しいという気もします。結婚しても、子供が出来ても安心して施設で働き続けられる職場になってほしいし、していきたい。しっかりとして引継ぎ体制を整えたり、パフォーマンスのレベルを整えて安心して休める環境づくりに取り組んでいくことが必要と思っています。
モデレーター:平岩さんはどうですか?二人とはちょっと違う立場だと思うんですけど。
平岩:私が目指していることは大きく2つあります。まず、会社として。私が会社に求められているのは、施設の責任者やスタッフのレベルを統一して「コングレブランド」を確立することだと思っています。コングレの責任者、コングレのスタッフだったら必ずこのレベルの接客ができて、この資格を持っています!という共通のスタンダードを作って、現場まで周知していけたらとおもいますね。それから、個人的には、施設の人たちが困ったときに、「あ、平岩さんに連絡しよう」と相談先としてまず思い浮かべてもらえる存在になりたいです。施設の中では解決できなかったり、相談できないことを、言える存在になりたいなと思ってます。